ひやおろし

2015年09月10日
福成優

秋めいてきました。
残暑がぶり返しながらも、
ふとした時に感じる秋の風。

日が落ちると聞こえてくる虫の音が
耳に馴染んできました。

この時期の楽しみといえば?

「ひやおろし」

秋に限定で出回る日本酒ですよ!

僕はこれが大好きなんです。

夏場の暑さも和らぎ、
ビールが欲しい!となっていた体が
ビールを求めなくなってきます。

そんな時期に出回るお酒。
日本酒には夏向けに作られた夏吟醸なるものもあり、
それはそれでまた好きなんですが、今日はひやおろし。

さて、ひやおろしとは何か?
ということからお話させてください。
そもそもは、冷蔵庫もないような時代に遡ります。

「昔は冬から春に作られ火入れして貯蔵した清酒は
秋になりその温度と外気温が同じくらいになると
貯蔵容器の大桶から樽に詰めて出荷した。
これをひやおろし(冷卸し)という。
この時期になると、新酒のあらさがすっかり消え
まるみが出てほどよく熟成し、
酒の最も飲み頃とされていた。」

ということで、技術の発達した今も活きている
江戸時代からの秋の風物詩。

棘の少ない、丸みのある味わいと
芳醇な香りが特徴です。

また、ひやおろしと同時期に出回る
秋あがりというものもあります。
厳密には違うものですが、今の定義ではほぼ同じもの。
秋に楽しむ日本酒としてざっくり分けています。

9~11月にかけて、様々な蔵からさまざまな銘柄が出ます。
これより寒くなると、初しぼり、しぼりたてなどを
見かけるようになりますが今は割愛...。

さてこのひやおろし、どう楽しむかというと、
「秋の味覚と合わせて楽しむ」
これがベストじゃないかと思います!
というか、自然と合わせたくなりますよね~。

野菜などは、きのこ、かぼちゃ、くり、たまねぎ、
ちんげんさい、じゃがいも、さつまいも、れんこん、
やまいも、春菊、かぶ、ごぼう
魚は、鮭、さんま、さば、ししゃも、いわし、はた、
あまだい、ちぬ、いとより、ぼら、はぜ

あー、もうたくさんありすぎる!
楽しみがたくさんですよ。
秋になると、夏よりこっくりとした味が恋しくなります。
味噌味のものや、出汁の効いた汁物が合う季節となり、
この時に合わせたくなるお酒が、ひやおろし。

今年の一本目のチョイスはこれにしました。
青森は八戸酒造の「八仙 ひやおろし」

青森 八仙 ひやおろし.JPG

クリガニのブログで、夏吟醸を紹介した八仙です。
やっぱり八仙が大好きなんだなー。

このひやおろしは特別純米なので、
吟醸にみられる薫り高い吟香はありません。
そのおかげで、様々な食材と合わせても
マッチしやすい特性があります。

僕が合わせたのは、たまたま特売となっていたメバチマグロ。
これからより美味しくなる食材ですが、一足先に。

醤油と料理用酒を半々に割ったものに
メバチのサクを漬けて、冷やしておきます。
(ご飯にあわせるときは醤油と煮切りみりんを
半々に割ったものに漬けるのがオススメ)
ひやおろし まぐろ.JPG

それを食べやすく切り分けて、
スリゴマと和えます。
さらに、卵黄を乗せてできあがり!
(残った白身は焼いて、漬け液で味付けをすれば一品に)
ひやおろし りゅうきゅう.JPG

ああ、贅沢。
大分の郷土料理「りゅうきゅう」のようなものですね。


二品目は、熊本産アミの塩辛。
ひやおろし あみ漬け.JPG
と、新潟産かんずり。
ひやおろし かんずり.JPG
を、冷奴に乗せて。

完成!
ひやおろし やっこ.JPG
ああ、たまらん。
あれ、旬のものと合わせてない!
いや、もう美味いからいいや。

先日、メールが届きました。
「多摩自慢、秋の慶を軽く飲んでます 美味い

美味い日本酒飲むと福ちゃんと飲みたいと思うんだ笑」

酒好き冥利につきます。
先輩からこんな風に言ってくださるなんて、
いい先輩を持ちました。
実際仕事でお世話になりました。
ところが、先輩とは日程が合ったことがありません。
先輩!飲みたいです!

さて、2015年もひやおろしを楽しみたいと思います!