セミの羽化観察

2016年07月31日
福成優

ある日の帰路。
いつも通りの大学通りで、いつも通りにその辺りを観察しながら歩いていると、
そこにいたのはアブラゼミの幼虫。

幼き頃は夏になると岡山のばあちゃんちに行って、セミの幼虫を捕まえるために裏山へ上ってたな。
捕まえた幼虫は、カーテンに登らせて羽化を観察していたっけ。
懐かしいな...。

そんな思い出が蘇りながら、風で落ちそうになってるセミを助けようと、
自分の手に上ってくるように手を差し出す。

迷うことなく一心に上ってくる幼虫の姿が健気で、なんとなく情が...。
ということで、結果、連れ帰ってきました。


昔はばあちゃんちのカーテン。今は我が家の網戸に登らせて、経過観察。
こんなにじっくり見られるのも、久しぶりだな。
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よじよじ上っていたセミが止まり、しばらくすると...
羽化2.JPG
背中が割れてきました。

だんだんと、背中が出て、頭が出て...。

うまく脱げるように、小さな前足で自分の触覚や身体をこすったりしながら、
ゆっくり、ゆっくりと羽化しています。
その姿が健気で、見るこちらの心を打ちます。
そりゃそうです。
セミからしたら、羽化できなかったら、それは死ということですもんね。
羽化3.JPG
頭が出た。

まだ体が柔らかく、羽も小さくてしわくちゃ。
自然界で観察していると、この無防備な状態でアリに襲われたり、
なんらかの理由で体が殻から出ないまま死んでしまう、という個体も見つかります。
羽化4.JPG
ここまで出たらひとまずの一安心。

そのまま、足も出きって、お尻だけつながった状態でしばらく体を安定させます。
この状態のとき、さっきのひとまずの安心はどこへやら。
見てる方は落っこちるんじゃないかとハラハラしつつ...
羽化5.JPG
しばらくして、腹筋するかのように起き上がり、


自分の殻につかまりました。
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ここでやっとお尻を抜いて、ぶら下がります。


ここまでの間に、しわくちゃだった羽がだんだんと伸びてきてますね。
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あとは、羽が伸びて、体が安定するまでじっとしています。
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緑がかった白い羽がきれい。
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時間がたつに連れて、アブラゼミの色に変わっていきます。
羽化11.JPG


ここまでで3時間くらいでしょうか。
あとは、朝を待って飛ぶだけだね。
羽化12.JPG

そっと網戸の外側に捕まらせて、僕は就寝。

翌朝目覚めてすぐに網戸を見ると、そこには姿はなく。
どうやら無事に飛び立ったようです。

今日もいつものように聞こえてくるセミの声。
その中に、もしかしたらこの子もいるのかな。

そんなことを思いながら、今日も大学通りを歩きます。
毎年、夏ならではの風物詩をありがとう。

それでは、またね。